日本でアリゲーターガーを釣った話
「アリゲーターガーを日本で釣る」
強く心に決めてアリゲーターガーを追い続けた日々。
いろんな物が見えなくなるくらい夢中になって横浜の鶴見川に通い続けました。
その甲斐あってか、時間はかかったが正真正銘の日本産アリゲーターガーを釣ることが出来た。
そしてこのアリゲーターガーは僕の人生にとても大きな影響を与える魚になったのでした(良い悪いは別として…)
今回の記事でそのアリゲーターガーの考察と、自分なりに思ったことを書いていこうと思います。
アリゲーターガーの日本最大クラスは?
アリゲーターガーが日本に定着しているのは確実で、ある程度の条件が揃えば比較的簡単に繁殖する様です。
いくつもの水系で定着しているアリゲーターガーは、ちょこちょこテレビで見かけるほどの存在になりました。
またSNSでも目撃情報が出てくるなど、案外身近に感じる様にもなってきたかもしれません。
そこまで日本各地で目撃情報が出ている中、今回の自分が釣ったアリゲーターガーも「日本のアリゲーターガー」として登場したわけです。
今回僕が釣ったアリゲーターガーは166センチ。
(細かいことを言うと陸にあげてかなり縮んだ後なので170はあったとかなんとか)
ちなみに原産国では3m近い個体も釣れます。
「じゃあ今回釣ったガーはそこまで大きく無いんだな〜」となるかと思いきや、そうでも無いのです。
今回アリゲーターガーを釣って、他の方が釣った記録や捕獲例などをかなり漁ったのですが、この166センチよりも大きい個体の捕獲例がないのです。
ちなみに証拠がない嘘か本当かわからないような話は今回スルーします。そこまで大きいのが釣れたら何かしらの証拠が残っていると思うので。そんでもって先に言っておきたいのですが、「俺が一番デカイの釣ったぜ!」と言う自慢がしたいのでは無いです…..。
もしかしたら僕が見つけられなかっただけでもっと大きいのが捕獲されているかもしれませんし、そう言う意味合いも含めて日本最大(クラス)と言うタイトルにしました。
気になるのは「原産国であそこまで巨大化するのに日本だと2mすら超えないのはなんで?」と言うところなのです。
ネットで探すと沢山のアリゲーターガーを釣っている写真が出てくるのですが、どう考えても日本のアリゲーターガーは小さいと思うのです。
僕が今回ガーを釣った横浜の鶴見川もかなり小型の個体(70くらい)が多くいる様で2mを超えるアリゲーターガーの目撃情報がひとつもないのです。
日本でのアリゲーターガー釣り場の代表格の関西圏。特に大阪なんかでも2mを超えるアリゲーターガーの捕獲例は聞いたことがありません。
関西圏では2023年にかなりの個体数のアリゲーターガーと出会いましたが、鶴見川での166センチを超える魚には出会えず。
一言で「フィールドのポテンシャルの違い」と片付けるのは簡単ですが、実際のところ餌が極端に少ないわけではないですし、「フィールドポテンシャル」の具体的な例が餌の量以外に思いつきません。
水槽で魚を飼育した経験のある方ならご存知かと思いますが、狭い水槽で育った魚は体の大きさも少し小さめに育ちます。
しかしながらこれと同じことが日本のアリゲーターガーでも言えるのか?となるとまた難しいのです。
僕がアリゲーターガーを釣ったのは横浜の鶴見川。しっかりとした河川です。
もちろん狭いなんてこともなく、2mある魚でものびのび泳ぐことができる広さではあります。
少なくとも3m近くになる魚が2mにも届かないことの理由になるほどではありません。
鶴見川にはスポテッドガーも生息していますが、それらと血が混ざっているなんてこともないです。
正真正銘のアリゲーターガーは日本では巨大化出来ないのか?それとももっと大型の個体は人目につかない深場にいるのか?
これからさらに調査を続けていきたいです。
日本でのアリゲーターガーの釣り方
日本でのアリゲーターガーの釣り方ですが、餌での釣りとルアーの両方で釣ることが出来ます。
餌で釣る方は魚の切り身をぶっ込んで釣るパターンが多い様です。アリゲーターガーは死肉も食べるとのことですので切り身なんかを使って狙うのが一番簡単かもしれません。(僕の場合はブラックバスを針につけて釣りました。)
また、ひっかけ釣りでも狙って釣れる様ですが、個人的にはかなり難易度が高いと思います。
アリゲーターガーはガノイン鱗という特殊な鱗で覆われており、簡単には体に針が刺さりません。
口元を狙って刺すことができれば釣ることが出来ますが、それには目視でアリゲーターガーを見つける必要がある為そう簡単なことではないと思います。
針が刺さりやすいのは口の下の白い部分かなと思います。
そこで、個人的にはルアーでのガー釣りが一番良いのではないかと考えています。
使用するのはバスやスズキ釣りで使用される「ビッグベイト」と呼ばれる大きめルアー。
生餌と違いリアルなアクションを演出する事ができるので有効だと考えています。実際のところ、生餌でもアリゲーターガーに見切られたことが何度もあるので動きを入れたほうが口を使わせやすくなるのは確実かと思います。
そして生餌とは違い餌が飲み込まれる危険も減るのでキャッチ率も上がると考えています。と言うのもハリスをワイヤーにしても奥の方まで針を飲まれると牙で切られる可能性があるからです。
実際にワイヤーを30センチ入れた仕掛けで生餌で釣ろうとした際もアワセを入れた瞬間に切れたことがあります。なんらかの形でメインラインが歯に触れてしまった事が原因で起こったのだと考えています。
餌釣りでワイヤーを長く取り過ぎてしまうと見切られる恐れもありますが、ビッグベイトであれば30センチもワイヤー部分を取れば確実に牙を回避してキャッチする事ができるはずです。
実際ビッグベイトやジャイアントベイトと呼ばれる大型のルアーを使って日本国内でアリゲーターガーを釣ることにも成功しています。
アリゲーターガーは飼育できない?
アリゲーターガーの飼育は2018年の4月から規制されて、無許可での飼育が禁止になりました。
これは外来生物法で「法的に」禁止になったと言う事です。法律ですので違反した場合は当然のことながら罰則があります。
それ以前からアリゲーターガーを飼育している方でも引き続き飼育するためにはしっかりとした申請が必要になっていますので注意が必要です。
この様な許可性になってしまったのは、やはり全国各地で多発した観賞魚放流が原因かと思われます。
アリゲーターガーに限らず、カミツキガメやワニガメなどもペットとして日本に持ち込まれたのが最初なのです。
外来生物法で規制がされた魚では代表的なのがブラックバスです。
もはやお馴染みの魚ではありますが、このブラックバスも無許可での飼育や生体の移動が禁止されています。
観賞魚ではなくゲームフィッシングの対象魚として持ち込まれたのがきっかけですが、この魚も同じように人間の手で生息地を広げていったのです。
ちなみにこのアリゲーターガーは絶命した後、水族館の職員の方によって引き取られていきました。
今後は標本になって展示されるとのことです。
遠いところから来てくださった職員の方、本当にありがとうございました。
アリゲーターガーって本当に危険?
時々、アリゲーターガーのことを「危険な巨大外来魚」としてアピールしているのを見かけるのですが、果たして本当にそうなのでしょうか?
日本にはアリゲーターガー以外にも牙を持った魚がいます。
その中でも淡水面での代表格が「ライギョ」かと思われます。
こちらがライギョの牙なのですが正直なところアリゲーターガーの牙に比べると「歯」に近い様な印象を受けます。
こちらは川に落ちていたライギョの顎の骨ですが、この様にしてみるとしっかりとした牙が生えているのがわかります。
実際にライギョ自体もかなり強靭なアゴを持っており、僕が知っているだけでもライギョに手を噛まれて病院に駆け込んだ方が二人います。
しかしいずれもライギョを釣って針を外す際に噛まれたとのことです。
アリゲーターガーも同じように、水の中にいる分には人間に対する危害は皆無と言っていいでしょう。
しかし釣り上げた際なんかに誤って噛まれてしまう危険は十分にあると思います。
僕がアリゲーターガーを釣った際には多くのちびっ子が駆け寄ってきて恐る恐る魚を触っていましたが、目の届かないところで口の中に手を入れて怪我をすると危険なので常に近くで見ている様にしました。
しかしながらちびっ子には「自分よりも大きい魚」を突っつくのが楽しく感じたらしく、しばらくはこのアリゲーターガーも人気者になっていました。
ちなみにですが、個人的に日本で「噛まれる危険」と言う点では一番危険な魚は「ウツボ」だと思っています。
一見して牙といったものは確認出来ないのですが、ウツボという魚の口の切れ味は本当にすごいのです。
写真のウツボは実際に僕が釣ったものですが、このウツボは僕の足首に噛み付いてきました。
しっかりとこちらの足首を目視で確認してから噛み付いてきたので、恐らく狙って噛み付いてきたのだと思います。
出血時の写真は少々グロテスクなので載せられませんが、噛まれた場所からはかなり派手に出血し、今も傷跡がしっかりと残っています。
小さなウツボでも噛みつかれたら本当に危険だと言うことを身をもって知りました。
確かにアリゲーターガーという魚は噛まれると怪我をする恐れがあります。
中型の個体でも牙はかなりしっかりとしたものが生え揃っています。
150センチを超えてくれば、当然顎の力も相当なものでしょう。どこかでアリゲーターガーを見つけてしまっても無闇に手を出さないようにするのが正解なのかもしれません。
その際は行政や当サイトまで連絡して頂ければ、日本中どこでも駆けつけますよ!