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日本三大怪魚の一角、ビワコオオナマズ
日本三大怪魚。イトウにアカメそしてビワコオオナマズ。
このうち、純淡水域で一生を終えるのがビワコオオナマズ。
琵琶湖および琵琶湖水系に生息している、最大で150センチを超える在来淡水魚です。
そんなビワコオオナマズ、琵琶湖水系である宇治川や瀬田川では10年ほど前まで比較的簡単に釣る事ができました。しかしながらこの令和の時代、そう簡単に釣ることができる魚でも無くなってしまったのです。
僕自身も実際に河川のビワコオオナマズをそれなりにやり込んでみたのですが、地元の方の口から飛び出す”昔話”とのギャップには毎回驚かされます。
今回はそんな令和のビワコオオナマズについて書いていきたいと思います。
ビワコオオナマズには本湖系と河川系がいる
大前提ですが、ビワコオオナマズには本湖系と河川系がいるのをご存知でしょうか?
琵琶湖本湖で釣れるビワコオオナマズと宇治川や瀬田川なんかで釣る事ができる河川のビワコオオナマズではタイプが違うとされています。
河川系のビワコオオナマズが青白い個体が多かったり、目つきが独特だったりするのですが、本湖産のビワコオオナマズは一般的なシルルス属といった”フツー”の体色をしている個体が多いように感じます。
ナマズ自体が個体差の出やすい魚なので、語弊があると申し訳ないのですが、河川系のビワコオオナマズと本湖産のビワコオオナマズはなんとなくぱっと見で見分ける事ができます。
ここからは個人的な見解なのですが、ビワコオオナマズは琵琶湖の北湖と南湖で個体群が分かれているようにも感じます。琵琶湖本湖で釣れるビワコオオナマズでも、南湖や瀬田川に近い位置で釣れるものは河川系の特徴が強いように感じます。具体的には体色が青白い迷彩柄だったり、河川系ののっぺりとした顔つきだったりするのです。
あくまで個人的にビワコオオナマズを釣り続けていて感じた事ですので、科学的な根拠は一切ありませんが、僕は南湖と河川系の血統は近しいものを感じました。
しかしながら河川で釣れたビワコオオナマズでもフツーに茶色味がかった体色をしているものも定期的に釣れますし、逆もまた然りだったりと。
あくまで傾向の域を出ない話だったりもするのです。
河川のビワコオオナマズが難しくなった理由
河川のビワコオオナマズは以前に比べて釣るのが難しくなったとされているのです。
理由としては人的プレッシャーの増加が一般的に言われているのですが、難しくなった理由はそれだけではないように感じます。
ここ数年。地元の方によると10年くらい前から増えてきた、外来ナマズがいるのです。
実際に宇治川や瀬田川でビワコオオナマズを狙っているとちょこちょこ釣れる、アメリカナマズというやつです。
このナマズ、繁殖力がとんでもないみたいで、一度定着した水域から根絶するのは限りなく不可能に近いのです。ビワコオオナマズに比べて”がめつい”イメージがあり、良い着き場所を占領している感じがします。
鰭の形状からして、ビワコオオナマズよりも遊泳力に優れているんだと思います。実際に釣ってみると同サイズ比較で引きはビワコオオナマズよりも強いですし。
ビワコオオナマズを釣る為にルアーを投げていて、実績のあるラインをトレースした時にアメリカナマズが先に食ってくるという事が多々あり、なんらかの要因においてビワコオオナマズが劣勢であると思わされます。
ビワナマを狙う際に多用する大型ジョイント系ルアーにも食ってくるのですが、匂いのあるワーム、生き餌なんかが特に反応良いです。ルアーで狙って釣るのは少し難しいかもしれませんが、魚の切り身なんかを使った餌釣りであれば比較的簡単に釣る事ができます。
それでも河川にも大型の個体は確かにいる
河川のビワコオオナマズは確かに難しくなったのですが、それでも大型のビワコオオナマズは河川で釣る事ができます。この数年、河川のビワコオオナマズはサイズが出なくなったと聞きますが、いまだに一定数の超大型個体は確実に生息しています。
河川の大型個体となれば、130センチを超えてくる魚がいるのですが天ヶ瀬ダムなんかのメジャースポットではほとんど釣る事ができないようです。
小型の個体と同じ釣り方を続けていればいつかは釣れると思うのですが、大型の個体に絞った釣り方は僕自身もはっきりとは知りません。
河川のビワコオオナマズよりも琵琶湖本湖のビワコオオナマズを狙った方がサイズを求めるなら可能性が高いと思います。
おそらくビワコオオナマズは瀬田川や宇治川などの河川の中でも産卵し、繁殖しているものと思われます。大型の個体同士が掛け合わされば大型の遺伝子が残りますし、河川の血統が河川内で濃くなっていけば本湖産のビワコオオナマズほどアベレージが大きくなる事はないでしょう。
実際に本湖では20キロを超える個体が年1度くらいは何処かで釣れたという話を耳にします。河川ではメーターを越えればそれなりに大きいと言われるようになり、120センチを超えるビワコオオナマズが釣れるのはかなり稀になります。それなりの頻度で通っている釣り人が3年に一本釣る事ができれば万々歳といったところでしょうか?110センチを超えるビワコオオナマズは2年に1本くらい、通い詰めていれば手にすることができるかと思います。しかしながらビワコオオナマズを取り囲む環境は年々劣悪になっていますので、これからは河川でメーターを超える魚を釣るのも難しくなってしまうかもしれません。
ビワコオオナマズを狙う際のタックル
ビワコオオナマズを狙う際のタックルについても書いていきたいと思います。
基本的に紹介していくのは宇治川や瀬田川などの河川のポイントで釣りをする際のタックルになります。
釣り方によって異なるのですが、流れの”よれ”や中層、表層を攻める際にはある程度パワーのあるロッドが良いでしょう。
僕がビワコオオナマズに使っているのは後ろに見え隠れしてるオレンジ色のロッド。
硬さはバスロッド表記XHくらいでしょうか?ある程度グラスの入っているロッドですので、掛けた後は曲がり込んでバラシを軽減してくれます。
ラインはPEの5,6号くらいを基準に、100m弱入れば問題ないです。
実際は100mもいらないのですが、岩やストラクチャーにラインが擦れて傷んだ際に先端を切って使うので、ラインの消費がそれなりに早いという部分も考慮してのセッティングになります。
ショックリーダーは80l bくらい太さがあれば安心です。
60lbのリーダーでも基本的に問題ないのですが、大型のビワコオオナマズがヒットした際は確実にキャッチしたいので、僕は最低80l b以上のリーダーを使うようにしています。
ルアーは各種大型ジョイントベイトやプラグ、ミノーなどなど。流れや水深に応じて各種使い分けます。
他にもバイブレーションなんかでボトム周辺を狙う釣り方があるのですが、こちらはPEの2号くらいのタックルが使いやすいと思います。根掛かりが多い釣りかつ、掛けてからのキャッチ率が低いので個人的にはあまり好まないのですが、日中なんかはボトムを絡めた釣りがビワコオオナマズには有効になります。
琵琶湖水系の固有種をこれからも。
今回は令和の河川系ビワコオオナマズ釣りについて書いてみました。
昔に比べたら圧倒的に釣れなくなったと言われるこの魚。それでも根強く生き延びている種になります。僕らができる事はキャッチアンドリリースの徹底化くらいでしょうか?掛けたら確実にキャッチするとか、不必要に陸に長時間放置しないとか。そんなところかと思います。
僕自身、年間通して複数本のビワコオオナマズをキャッチする事ができているのですが、河川で釣れたビワコオオナマズは髭が欠損している魚が多いです。
特に宇治川で釣れた魚に多い印象で、以前にもつられた事があるのでは?と思っています。良い捉え方をすれば、以前に釣った方が確実にリリースをしたという事になります。
そして安定して釣る事ができるようになったアメリカナマズ。
宇治川や瀬田川で釣れた際は、可能な限り持ち帰って食べるようにしています。
”在来種を守ための駆除”とかなんとかいうつもりは一切ないのですが、リリースするのも考えてしまうし、陸に放置して殺すのなんてもってのほかというか。単純に”釣り人、魚好き”として心が痛むのです。
それならば食べてやろうと定期的に食べているのですが、これがフツーに食べれます。
宇治川や瀬田川で釣れたアメリカナマズは身の臭みが無く、臭み取りなどもせずにそのまま唐揚げや鍋にして何の問題もありませんでした。
むしろ美味しく、琵琶湖のワカサギと並んで冬の我が家の食卓を彩ってくれました、
……僕ら釣り人に出来ることなんて、たかが知れてるのかもしれません。
それでも、出来る範囲でビワコオオナマズという怪魚を大切にしていきたいと思うのです。