本当に汚いドブとは。
ドブの定義ってなんでしょうか?
調べてみると、法律上統一された定義は存在しないそうで、個々のイメージや解釈次第とのことです。
ときどき農業用水路をドブと言う場合もありますね。
さて、”汚いドブ”と言われるとどんなものを想像しますか?
濁っている?
ゴミが浮いてる?
それとも油が浮いている?
……僕は本当に汚いドブを知っています。
そのドブは、ラーメン屋と中華そば屋の食べ物カスが流されていて、道路向かいのラブホからの排水まで受け止めているのです。
冬場、入浴剤で白濁したフローラルな香りの温水が垂れ流されて、3m横からは食い物のカス、残飯が流れてくる。冬場の鯉たちは温排水で暖を取って残飯や麺のカスを貪る。タイミング次第ではドブから湯気が。
劣悪すぎて笑っちゃいますよね。
不法投棄された自転車に、浮いている油と”アク”。足元にはドブネズミが走り回っていて、大量のエ口DVD、…その他が捨てられていることも。

そんな場所でも生き物はたくましく生きており、図太さを感じずにはいられません。
こんな汚い場所でも暮らしていける生き物は案外いるようで、

そこそこ大型の雷魚。この写真だけでも水質が十分に悪いことが伝わってしまうかと思います。
他にも先ほど書いた鯉や鮒、ナマズなんかが暮らしているのですが、今回はそこで暮らしているミシシッピアカミミガメ(ミドリガメ)を釣って食べてみようと思います。
アカミミガメ(以下ミドリガメ)は北米原産の外来種で、日本のどの河川でも大体生息している超身近なカメです。
時々駆除されているのを見るのですが、食用にすることができたらさらに有効活用が加速するのでは?と思いまして。
汚いドブの亀を釣る
まずはカメの調達。
さほど難しい事はなく、プカーっと浮いているカメの目の前に動くものを落とせばサクッと釣ることができます。

特に苦労する点もなく、5分仕事です。
フックのカエシは潰しておくのがオススメ。

尻尾が可愛い。
とりあえず今回は1匹釣って完了。食材として優秀であればさらに釣って持ち帰ることになるわけですが、
「…この時点で相当に臭い。」
亀臭くて、ドブ臭い、最低な匂いがしますね。どんな匂い(臭い)と聞かれると、ドブの匂いってやつです。シンプルに泥臭く、ヘドロの嫌な匂いとカメのなんともいえない嫌な匂いが混ざり合って持ち帰りたくありません。
いますぐにリリースしたいです。
臭いを嫌がっていては食料問題は解決しません。
持ち帰りは適当なネットを使用。多分ビニール袋だと簡単に食いちぎって脱走しますし、案外爪が鋭いのでビリビリになってしまいます。
おそらく潮干狩りとかする際のネットかと思います。近所の釣具屋さんで税込250円でした。
にしても臭い。このネットは間違いなく使い捨てですね。


(この記事を書いていた当時、僕は10代。自転車の荷台に亀を結びつけて帰宅しました。)
帰宅後は冷凍庫に放り込んで冷凍締め。
ここからなかなかにインパクトのある捌き方をするので、苦しまないうちに眠ってもらいます。RIP
ちなみにこちらはウシガエルを持ち帰った時の写真。

当時高校生。
両親のおかげで食べ物には何一つ不自由しない、恵まれた環境で育てて頂いたのですがね。
初手にして難関。甲羅割り。

流水解凍という名のシャワー。

冷凍締めしたミドリガメを食べるにあたり、最初によーく洗ってやります。

(友人足)

※既に息を引き取ってますが、綺麗になって嬉しそう?
しっかりと水でゴシゴシ洗ってやることで、強烈なドブ臭さを軽減…、出来ない!!
「臭い!あまりにも臭い!」

このモーレツな臭いは後々なんとかするとして、最初に取り掛からねばならないことがあります。
最初で最大の難関が甲羅。
ミドリガメ、包丁じゃ捌けません。
そこで用意したのがこちら。

物騒なラインナップですね〜。○体でも解体するつもりでしょうか?
これを

こう!
上と下の甲羅の継ぎ目を半分に断っていきます。上からカメを押さえ込んでギコギコと。
こんな作業をするのに、生きている状態だったら相当に苦しんだ末の最後になっちゃうじゃないですか?余計な苦痛を与えず、先に冷凍締めしたのは英断だったなと、ギコギコされるカメをみながら心底。

にしても硬ってー!
爪切りの時、最後にヤスリがけをすると香る、あの匂いあるじゃないですか?あれの亀バージョンが香ってきます。
これが結構臭いというか、不愉快。
そしてやはり硬い。甲羅を割るのも一苦労です。
さて、この時点で解体の労力と食味が釣り合うのかがすでに怪しくなってきました。
外来種を食べるシリーズ史上、一番だるい解体作業です。ウシガエルの方がまだマシですし、ブラックバスの解体作業のインスタントさと比べると雲泥の差。そして常に臭い。
今のところ株価はかなり底辺気味ですが、せっかく頂いた命、責任を持って血肉に変えていきます。
肉を解体。色は良し。
四苦八苦しつつ、どうにか解体成功。

カメの甲羅の裏側ってこんな感じなんですね。これはこれでかっこいいので、干してどこかに飾っておこうかしら。

魚とはかけ離れた肉質と色。やはり動物ライクというか、ジビエの香りがプンプンします。
そして肝心の匂いは…。
「うん。臭い!」
普通に臭いです。ドブ臭いし、泥臭いです。でもドブ臭さに関しては捌く前より少しマシになったかな?というところ。
しかしながら身はしっかりとしていて、端的に表現すると硬い。そして可食部、少なくないか?
両手両足、およびそれぞれの付け根など。確かにまとまって肉が付いている部位はあるのですが、総合的に判断すると全体に対する可食部分の割合がかなり低い。ウシガエルとどっこいどっこいです。甲羅を開く労力と、この臭いを加味すると、なかなかリピートする気になれません。
そして極め付けは。

なんか汚い。
手の周りを擦ると、こんな感じのコケ?藻?みたいな汚れがどんどん出てきます。捌く前にしっかり綺麗にしていたつもりなのですが、まだまだ汚れていたようです。
ミドリガメの平均寿命や今回のミドリガメのサイズを加味するに、少なく見繕っても10歳近く、あるいはそれ以上生きている個体だと推測されます。約10年分の汚れ、なのでしょうか?新陳代謝で完全に10年分という事はないでしょうが、それでもやはり、綺麗ではないですよね。加えてあの水質。
繰り返すようですが、ラブホの排水と飲食店の残飯排水。新たに思い出したのですが、運送会社の敷地内を通っている用水路も流れ込んでおり、洗車排水や各種オイルの流れ出しなんかも予想されます。
水質、いい感じに終わっていて正にドブ。なのです。キングオブ・ドブです。

ここにきて注目するは、この爪。
どうですか?あんまり注目されない部分ですが意外としっかりした爪なんですよ。このくらいのものがあればビニール袋くらいは簡単に破くことができます。
とりあえず茹でる。
とりあえず鍋に入るサイズにカットして、一煮立ちさせます。

塩すら入れていない、ただの茹で。
素材本来の味や臭いを感じることができ、臭いです。明確に臭いです。
寄生虫なんかのリスクを考えて、とりあえず2、3分茹でてみます。

臭いし、アクがなんともビジュアルを悪くしている。しかしながら、ひとかじりしてみると肉質自体は悪くなく、むしろジャーキーで自分好み。
繊維質なところも、噛めば噛むほど味が染み出して悪くない。臭み自体はまだまだ健在ですが、素味でも食べようと思えば食べれます。汚くて臭い場所、なんて先入観が邪魔してますが、身は悪くない。

茹で上がった身。見た目こそ悪いのですが、別に食えなくは無いです。
しかしながら可食部が少ない&分かりづらい!
感覚で言うと骨付きチキンにしゃぶりついている感じ。身を噛みちぎって食べてこそぎ落とす。この動作をする際、カメを咥えている口では呼吸ができないので必然的に鼻呼吸になるのですが、これが臭い!
鼻からカメの臭いを吸うと、流石に食の動作にブレーキがかかります。もう少し食べやすく、それでいて臭みを誤魔化す調理方法が好ましいですね。
唐揚げへ
この手のモノは揚げちゃうのが一番です。美学なんてありませんが、そう決まっているのです。
使用するのは市販の唐揚げ粉。
もう十分に臭いことはわかった、(理解らせられた)のでここからは美味しく頂こうと思います。

カラッと揚がったミドリガメの身。この段階ではどれだけ至近距離で嗅いでも臭みは皆無。
割いてみる。身質はこんな感じ。

色だけでいえばなんとなく砂肝っぽい。食べてみると、歯応えまで砂肝に近い。しっかりと噛みごたえがあってジャーキー。砂肝の味には程遠いのですが、唐揚げ粉の風味もあり、問題なく食べることができます。
結局臭みは最後までいました。しかしながら揚げた段階でだいぶ軽減され、少し神経質に嗅覚味覚を尖らせなければ感じないくらいにはなりました。問題なく美味しいものと呼んでいいかと。だってお店で食べる肉や魚だって、そんなもんじゃないですか?
むしろここまでくると臭みなんてどうでも良くなり、可食部が少ないことに憤りを覚えます。

これほとんど骨格というか骨で、可食部が少ないのです。少しでも身を食べようと熱心にしゃぶっていると時々臭みとバッティングするので、めちゃくちゃに箸が進むかと聞かれると、そんなことは無く。
これは水質が悪さしてるなと。
「そりゃそうだ!」と総ツッコミ頂きそうですが、自分が考えられる最底辺の水質でこのレベルの食味ならもう少し綺麗な場所で釣ったアカミミガメならもう少し無難に食べる事ができるのではないでしょうか?
なんとなく、骨を熱心にしゃぶっている時に臭みと巡り合うことから骨や骨格そのものにニオイが染み付いているのかな?と考えてます。
最終的な評価ですが、身質は悪くない。むしろ僕好み。しかしながら可食部が少ない点と、釣ってから口に運ぶまでの手間がマイナス評価かなと思いました。
ドブの亀は、食糧問題を解決するのか?

こんな感じでミシシッピアカミミガメを釣って食べてみた話を書いてみました。
我々人間は遠くない未来に食糧問題にぶち当たるそうで、このカメもいざとなったらあなたの命を救ってくれる貴重なタンパク源となるかもしれません。
その辺のカメを美味しく食べるには、とにかく水質の良好な臭みのない場所で釣るor捕まえるのが大切ですね。
あとはシンプルな問題ですが、やっぱりカメくらいになると情が湧いちゃいますね。
元々ペットとして持ち込まれただけあってか、目が可愛いのです。釣り針で釣り上げたりすると少しというか、かなり胸が痛んでしまうのです。
この生き物、結構長寿ですので飼うなら責任を持って飼いましょう!なのですが、すでにそれだけでは取り返しのつかない段階まで自然界での繁殖が進んでいます。
増える上に長寿。ブラックバスやブルーギルなんかみたいに、分かりやすく在来種を食い散らかすような生き物ではないのですが、流石にここまで増えすぎていると歪を感じますし、分かりやすく生態系のバランス崩れているなと思うところでして。
僕個人ではできないことですが、力のある団体や行政が本格的に駆除する際は捕まえたカメを砕いて、畑の肥料として有効活用したりするらしいです。
「流石に砕くのはちょっと可哀想よな…。」なんて考えたこともありましたが、手っ取り早く駆除するという目的だけならそれが一番理にかなっていると思いました。カメを食べるのは、めんどくさいぞ!
でもいざ食糧問題と対峙した時、日本人はカメを食べるのでしょうか?
カエルやカメなんかを躊躇なく食べることができる人間だけが生き残れるような世の中になったら、僕の人生はイージーモード突入です。
さて、あなたは?



