「ホームレス」
この単語を目にしてあなたは最初にどんなイメージが湧きましたか?
「ホームレスは汚い」「貧乏」「生活が苦しい」「ホームレスにはなりたくない」
正直この様な悪いイメージが湧く方も少なくないと思うのです。
実のところ僕自身もホームレスについてあまり良いイメージがありません。というかほとんどの人がホームレスに抱くイメージはこんな感じじゃないかと思います。
今回はそんなホームレスの方々に実際にお話を聞き、ホームレスのリアルな生活に迫って見ました。
ホームレスとの最初の出会い
僕が初めてホームレスの方に会った(?)のは高校の修学旅行の時。
具体的な場所については伏せますが有名な観光スポットがいくつもある、いわゆる「観光地」でした。
あれは修学旅行2日目か3日目の自由行動の時。
観光地周辺を半日の間、班ごとに回る事になったのです。
当時の僕はあまりクラスメイトが好きではなく、意識的に避けていました。班行動中もパックロッド片手に一人班を抜けて水辺を探索していました。(いま考えるとかなり社会不適合者)
そして比較的観光客の多い歴史のある割と有名な橋にたどり着きました。多分日本人なら名前くらいは聞いた事あるんじゃないかな?
そこで僕は人生初のホームレスに出会ったのです。
ドラマで見たまんまのホームレスの家。ブルーシートとダンボールのの住宅街。
そんな光景が橋の下には広がっていました。
見た目のインパクトだけではなく、更に僕を驚かせたのは
このブルーシート住宅群が観光地にあったという事です。
橋の上には多くの観光客。
色白のヨーロッパ系のべっぴんさん、東南アジアからの観光客であろうお方達。中国からの方。
とにかく日本人だけでなく外国からの観光客の方も非常に多い。
「こんなグローバルな観光地のすぐ下にホームレスがいるなんて」
高校2年生の僕はかなり驚きました。
新型コロナウイルスの影響
さて、2019年。
今更言うまでもありませんが。新型コロナウイルスが流行りだした年です。
このコロナウイルスは僕たちの生活を本当に変えてしまいました。
そんでもって休校、オンライン授業、在宅ワーク、リモートワークなど。新しい生活のスタイルも数多く生まれました。
要するに、労働環境や市場の形が大きく変わったと言う事です。
そして貧富の差の拡大をもたらしました。
今まで就いていた仕事が急に無くなってしまう方も出てきたりと雇用が不安定な世の中になってしまいました。
失業者が増えると当然ホームレスも増える事になります。
少し前にホームレスが増加したなんてニュースをTVで見ました。
そんなニュースを見て思いました。
「ホームレスってどんな生活してんのかな?」
と。
前置きが長くなりましたが、こんな感じでホームレスについて知りたいと思ったのでインタビューしたわけです。
ホームレスに会いに行く。
ホームレスの方々がいる場所については心当たりがありました。
以前釣りをしに足を運んだ川の近くにホームレスの方々が建てた家がありました。
「あそこなら話が聞けるかもしれない。」
そう思い約1年ぶりに足を運びました。
最寄駅を降りて少し歩いた所にその場所はあります。
(*ホームレスの方々へのイタズラ防止の為、一応場所が特定されないようにモザイクをかけております。)
歩いて30分くらいでしょうか?
河原にポツポツと建物(?)が見えます。
これが現在使われているホームレスの方々の家です。
自転車が何台もあるところを見ると結構な人数の方が一緒に暮らしているのでしょうか?
ホームレスの方にお話を聞いた。
そんなこんなで実際にお話を聞いて見ました。
家の近くで何かを焼いているホームレスの方に声をかけました。
「こんにちはー」
「おお、どうも!」
「今って何されてたんですか?」
「今なぁ、火起こしてたんだわ!釣りか?」
「そんなところっすね笑」
意外にフレンドリーに接してくださった彼は「あきらさん」と言うそうだ。
話を聞くとここに住み始めて2年目になるらしい。
「普段って何されてるんですか?」
「ん〜、釣りとかかなぁ〜。特にやることもねえっけさ!笑」
そう言ってあきらさんは川辺に挿してある釣竿を案内してくれました。
「ミミズつけてこうやって投げとくと鮒とか鯉が釣れるんよ!」
そしてその横に置いてあったクーラーボックスの中身を見せてくれました。
「ほれ!立派だろ! あれ、くたばっちまった!笑」
あきらさんのクーラーボックスには45cm程はありそうな巨ブナが入っていた。
そしてあきらさんはそれを網で掬い、家の方へ持って行った。
「こんなの持って行って何するんですか?」
まさかこれを食うのか?とも思った。実際鮒自体は食べることのできる魚なのだがこのクーラーボックスに入っていた鮒は死んでから少し経っているようで流石に人が食える状態ではなかった。
しかしあきらさんの口からは意外な言葉が飛び出した。
「猫にやるんだわ」
あきらさんが魚を持って家に着くとどこからともなく2匹の猫が現れた。あきらさんの持ってきた魚を見るなりソワソワし始める。
「この猫達って飼ってるんですか?」
「飼ってるチューか、野良がここに居着いたって感じだな」
「去勢とかってされてるんですかね?」
「されてないよ、放っておくとすごい数になっちゃうから子供生まれると俺らが殺すんだよ。生まれてすぐ、目が見える前に殺してあげる。目が見えてからだとかわいそうだからね……..。」
猫達があきらさんに良く懐いているのを見ても分かったけど、この人はしっかりと猫に対して自分に出来る事をしている。
自分が可愛がっている猫が産んだ子を自分の手で殺す。こんな事自分には出来ないと思った。
「去勢してあげればいいんじゃないの」なんて声が聞こえてきそうだが、そんな余裕があるわけがない。
出来る事をしてあげてる。と行った感じだ。
「可愛い猫ですね。」
「おう、俺んとこで夜寝てるんだわ」
「僕も今日はそこら辺で野宿するんですよね笑。猫の方が上等な所で寝てますわ笑」
「お前さんも夜寒くなったら俺んとこで寝ればいいわ。ストーブもあるしな!今晩と明日は冷えるからいつでも来ればいいわ」
温かい言葉を頂いてしまったが、流石に遠慮しお礼を言って立ち去った。
ホームレスの方と話した感想
正直ホームレスなんて自分の事しか考えない人なんだろうな、と思っていました。
しかしながらそんなイメージはあきらさんとお話しして消し飛びました。
どう言う経緯でホームレスになったとはいえ、とても親切な心の優しい方でした。
と同時に
「なんでこんなに良い人がこんな所で生活してるんだろう」
と言う疑問も生まれました。
そう単純な話ではないかもしれませんが、「健康で文化的な最低限度の生活」なんてものが憲法に書かれているのにこんな方が居て良いのでしょうか。
貧富の差が拡大しているこの世の中、
都心部ではホームレスの横を高級車が走る。
なんだか皮肉、ですよね。