荒川に潜むハクレン
ハクレンという魚をご存知ですか?
ハクレンはレンギョとも呼ばれる魚で、最大で120センチにもなる大陸原産の外来魚です。
食用として輸入された魚が各地に移植され、繁殖を繰り返し現在では本州各地に生息域を広げています。
食性についてですが、植物性プランクトンを主に食べており摂取量も多い事からか、成長のスピードは非常に早いです。
冬になるとこの魚が埼玉の荒川温排水という有名ポイントで大量発生していると言うことで、埼玉まで行って狙ってきました。
荒川温排水で釣れる外来魚
この荒川温泉(荒川温排水とも呼ばれる)は様々な外来魚がいるようで。
最も有名な魚であればブラックバス
荒川温泉で最も狙っている釣り人が多い魚になります。
他には雷魚なんかも。
荒川でハクレンを狙っていると釣れる可能性があるのがコクレンという魚
ほとんどの釣り人が、ハクレンとコクレンの見分けがつかないのですが、よく見ると微妙に違うのです。
かの有名な熱帯魚、アロワナの捕獲事例もありまして、
極め付けに、巨大なアリゲーターガーもいるそうです。
深刻化している外来魚問題を象徴するかのようなポイントなのですが、冬でも安定して魚が集まるため、釣り人からすると中々にありがたい存在になっているようです……。
水温が高いことでこのような外来魚も越冬することができるようになっており、考えさせられるものがありますね。
荒川の外来魚についてはこちらの記事で詳しく書いておりますので、是非ご覧ください。
2月にハクレン釣りへ。
暗いうちからハクレンを釣るため、夜中に新潟を出発して荒川温排水ポイントを目指します。
埼玉までの道中は結構な吹雪。
新潟から埼玉まで行く途中、山を越えるまでこんな吹雪が続きました。これが関東に入るとぴたっと止まるから不思議。
冬の関東特有のカラッとした風を感じ、高速を降りたらそのまま埼玉温排水に直行。
高速を降りてからポイント近くの駐車場までは割とすぐで、近くのコインパーキングに車を止めてそこから徒歩で荒川のポイントまで歩きます。
徐々に真っ暗な荒川が見えてきて、「これがあの有名ポイント、荒川温排水か〜」なんて呑気に考えていましたが心のうちではしっかりと何かが弾んでいるのを感じました。
にしてもこの漆黒の荒川からたまに何かが跳ねる音がするけど目に見えるのは反射している光のみ。
眺めるのも程々してとりあえず人生初の荒川での釣りを開始します。
でかいハクレンを求めて釣り開始
そんなこんなでハクレンを狙い真っ暗の中釣り開始。
到着したのが真夜中で正直まだポイントの全貌も見えてないから勝手が分からない。分かることは目の前にある川が荒川という事だけ。
ここはとにかく教えてもらった通りにする。
しばらく竿を出していると、漆黒の荒川から何やか魚信を感じた。
結構頻繁に「クンクン」と竿先がお辞儀する。
しかしながら乗らない。
うぅ〜ん、これがハクレンか?
期待と歯痒さが混じり合った時間が流れた。
そしてやっとこさ竿に重みが乗った。
お!ハクレンか?!
ウキウキしながら上げてくると
ドン!
ハクレンかと思ったらお前かーーーい
関東に来て最初に釣った魚はハクレンでは無く鯉でした。にしてもこのポイントにいるコイはデカイ。90近くありそう。
荒川産のコイに地元新潟のアットホームな何かを感じつつハクレンを狙い釣り再開。
相変わらず関東の風の音と暗闇の中で魚の跳ねる音だけが聞こえる。この大層な音からして相当デカイ魚であることは間違いない。ハクレンだと信じたい。
その後、またしてもハクレンの顔を想像するだけの歯痒い時間が続いた。
臭いを想像していたその時、再び竿に重みが乗った
グン!
……………重い…….!
ロッドを伝って手元に伝わって来たのは重量感のある確かな魚の重み。
しかしながら、掛かった瞬間はすごい力で引き込んだくせに引いてこようとするとすぐにおとなしくなった。
若干の薄気味悪さを覚えつつも、これはコイの引では無いと言う事だけは分かった。
それでも魚体は非常に重く、寄せる度にxhのロッドがバットから曲がる。
格闘する事2分。
重過ぎて腕がキツイ…………
日頃の運動不足な自分を恨みつつハクレンの魚体を目にするのを今か今かと待ち望んでる。
そしてついに漆黒の水面に銀色の魚体が浮かび上がって来た。
ハクレンだ……!!!!
ドーン!
ハクレンよ!こんばんは!そして初めまして!
荒川に潜む憧れのハクレンを手にして最初に出た言葉は「重い!」でした。
めんどくさくて重さは計ってないけど相当な大きさと重さ。
90センチ、10キロ近くあるのでは?
荒川温排水….なんと言うポテンシャルを秘めているポイントだろうか…..。
ハクレンを観察
ここからは荒川が育んだモンスターを見て行きましょう。
まず、このハクレンという魚はヌメリがすごい。できれば素手で持つのは避けたいところ…(無理な話)
まぁ、魚が持ちたくないなら釣らなければいいだけなのですが。
そしてハクレンの特徴であるこの顔は賛否両論が別れる部分である。。個人的にはめちゃめちゃカワイイしかっこいい顔だなと思うけど。残念ながらハクレンにそんな感情を抱くのは少数派っぽい。
こうやってみるとおでこが広い魚だなぁというか目の位置が低い?のかな?
なんか外来種で巨大魚でこの顔付きって、ハクレンさん、キャラが濃過ぎやしないかい?
ハクレンの背びれはこんな感じ。結構しっかりした作りで棘(きょく)が太い。
やっぱりかっこいい。個人的には水槽で買いたいくらい好きなのですが、なにせデカすぎる。
この巨体がのびのびと泳ぐには荒川、利根川くらいのポイントの規模がなければダメなんでしょうね。
ちなみにですが、これは明るくなってから荒川沿いで見つけたハクレンの骨と思われる物です。見ての通り骨が太く、しっかりした骨格であることが分かります。
ハクレンという魚は植物性プランクトンばっかり食べている偏食家なのに、丈夫な体を作ることができるようだ。
ハクレンって食べれるの?
今回実際にハクレンを釣ってみて分かったことは
これは食えない!!
と断言できることです。
しかしこれはあくまで「荒川温排水で釣った魚」の話です。
荒川の温排水で釣った魚はハクレンに限らずコイもバスも臭い様でこれは完全に水質に問題があるなぁと感じます。
実際に利根川で釣ったハクレンであれば美味しく頂くことができる様で、しっかりと身に火を通せば衛生面も問題無いと思われます。
荒川温排水は魚体にケミカル臭が染み込んでる感じで、どんな調理方法をとってもこのハクレンを美味しく食べるのは難しいかと。
これはハクレンでは無いけど臭いの気になる魚であれば南蛮漬けが最強だと思ってる。しかしながら荒川温排水のハクレンはこの南蛮漬けでも歯が立たないと言うから驚きである。
まとめ
今回は荒川の温排水に潜むハクレンを狙って来ました。最大サイズは92センチと、目標であったメーターオーバーを釣ることは出来ませんでした。
しかしながら大都会のど真ん中を流れる荒川のポイントにこんな巨大な魚がいる事をもっと多くの人に知ってもらいたいです。
ハクレンに興味のある方は是非とも挑戦してみてください。(臭いけど)
運が良ければ、かの有名な荒川のハクレンジャンプも観れるかもしれないですよ〜
実を言うとポイントについて10分くらい釣りをしてたときに地震が来たんですよね…。
その時は足場も軋むほどだったので若干焦ったのですが、荒川から何やら音がするんです。それがハクレンのジャンプだと気づくまでに少しタイムラグがありました。
漆黒の水面から飛び出すハクレンの姿には驚きましたし、あの巨体の魚が何百匹と水面から飛び出す姿は圧巻でした。
次は明るい時に荒川に出向いて見てみたいな、なんて!
……追記
数年後、日中にハクレンを釣る事ができました。
日中に見ても、圧倒的なブサイクさは健在で、とにかく頭がデカくておでこが広いなあと感じました。
ここ数年は荒川でもアメリカナマズや雷魚、アリゲーターガーなんかがさらに増えているそうなので、今後もさらに生態系がカオスなことになっていくのではないでしょうか?