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憧れのピラルクという魚

ピラルクと聞くと釣りをしたことのない方にもある程度の認知度を誇る巨大魚。

世界最大級の有隣淡水魚で、日本のゲームなんかでも度々登場します。(どうぶつの森とか)
水族館でもちょこちょこ見ることができ、川崎にあるカワスイでは見るだけでなく、食べることもできます。

淡白な白身で臭みも無く、非常においしかった!
当然日本には生息していないので、海外まで釣りに行かないと出会えない魚なのですが、野生のピラルクが生息しているのは南米大陸。ブラジルとかペルーとかあるところですね。
要は地球の裏側。航空券も高い。直行便もないので、今回はアメリカを2回経由する必要がありました。
でもそこまでしてでも会いたい魚。
そんなわけで、今回はお金もコネも一切無い20歳のガキんちょが、一人で地球の裏側まで行ってピラルクを抱くまでの話を書いていきたいと思います。
ピラルクを釣るエリア選び
先ほども書いた通り、ピラルクが生息しているのは地球の裏側、南米大陸。
その中でも限られたエリアにしか生息していないのですが、そもそもどこにいるんだ?って話ですよね。
ネットを駆使してある程度のエリアを絞ると、出てくるのはガイアナ共和国という国。(なんて?)
聞いたこともない国ですが、この国では日本人もピラルクを狙う事ができるらしい。
ツアーも組まれているみたいですが、なんせ高い。
とりあえずその国まで行き、なんとかして格安でピラルクを釣ろうと考え、25万円の航空券をポチりました……。

アメリカを経由して、ガイアナ共和国へ入国
ニューヨークとトロントを経由し、やってきたのはガイアナ共和国。
アメリカを2回経由し〜って一行で書いてますが、高校時代英語で留年しかけた筆者にとっては超難関でした。

肌寒かったアメリカとは違い、ガイアナ共和国に降り立った飛行機を出た瞬間、纏わり付く熱気。湿度。
入国審査をカタコトの英語で済ませ、空港を出ると「タクシー!タクシー!」と群がってくる黒いオッサン達。
その中の一人と値段交渉をし、首都へ向かいました。
首都で一番安い宿を見つけて宿泊。幸いにもネット環境があったのでピラルクが生息するエリア周辺の情報を調べる。
ヒットするのは複数の外国人向けロッジ。
値段の相場がわからないのでそのうちの2、3軒にメールを入れて、「ピラルクが釣りたいんだけど、一番安いプランはいくらくらいかな?」と聞いてみた。
帰ってきた返事は約7,500USドル。レートを考えると日本円で100マンエン!
そんな額出せるわけないので、途方に暮れながら首都にダラダラと滞在することに。
首都でダラダラしてたら運命の出会いが
臍を曲げながらダラダラと首都に滞在することになりまして。
ホテルとは名ばかりの安宿。朝は耳元の羽虫の音と暑さで目が覚めます。当然クーラーなんて付いてません。
眠い目を擦りながら宿の前で釣りをしていたら子供に竿を取り上げられる。
「この竿気に入ったから頂戴と」ダメだといっても聞かないので久々に怒鳴った。
普通に日本で生活していて怒鳴る事なんてまず無いので、怒鳴る事ができた自分に一番驚きました(情けない)
その後釣りをしていても何にも釣れないし、お腹が空いたので市場に食糧調達へ。
市場で菓子パンを買って齧り。

ナマモノが腐った匂いのする市場を後にしてダラダラ散歩をしていると旅行代理店?バス運行会社?のようなものを発見。
とりあえず中に入って暇そうにしてるおっちゃんに話しかけてみると話がトントンと進み。
ここは端折りますが、ピラルク釣りをしている知り合いを紹介してくれるだけでなく、目的地までの最安のバスに乗っけてくれるとのこと。やったー。

そんなわけで前金を支払って、アマゾンの奥地にある目的の村行きのバスに乗りました。(この時はこのバスで12時間も揺さぶられることを知らない)

ついにピラルクのいるフィールドへ。
想像以上の悪路に揺さぶられ、体力を完全に持っていかれた20歳の日本男児でしたが、夢の釣り場につくと流石にテンションが上がりました。
目的の村についたのが朝だったのですが、その後にボートが村まで迎えにきてくれて、上流へ連れて行ってくれました。
ピラルクを釣るためのキャンプ地に到着したのは夕方だったのですが、ボートマンのおっちゃんが「今からピーコックバスを釣りに行こう!」と。
せっかくなので連れて行ってもらうと、アマゾンは想像以上の魚影。
目的のピラルクでは無いのですが、ピーコックバスが次から次へと釣れてくれて本当に楽しかった。

ピーコックバス以外にもピラニアやカショーロ、レッドテールキャットフィッシュなどなどのアマゾンならではの魚達が遊んでくれる。


本当に地球の裏側まで来たんだなと改めて肌で感じました。
そして数日間キャンプ地でルアーフィッシングを楽しむと、いよいよアマゾンの最奥地。目的のピラルクがいるエリアに突入することに……。
憧れのピラルクを掛ける
ここまでサラサラっと書いてきましたが、ピラルクのいる水辺まで来るまでに本当に苦労しました。
ピラルクの生息する水辺にやってくると、ボートマンも静かにパドリングをする。
このエリアは三日月湖になっており、そこにピラルクが取り残されているとのこと。
ボートマンに指示を出し、ゆっくりと三日月湖を進む。ピラルクは一定時間ごとに呼吸のために水面に上がってくるので、近くにいれば目視でピラルクの姿を見つける事ができるのです。
じーっと目を凝らしてピラルクの呼吸を待っていると、20mほどの距離でピラルクの魚影が。
すぐさま餌のピーコックバスをキャストして、ピラルクが食いつくのを待ちます。
こんな感じのことを半日繰り返したあたりで、ピラルクの魚信が。
リールから糸がスーッと出されていき、ボートマンが「アラパイマ!(ピラルクのこと)」と叫びました。
針がかりさせるために竿を煽って”アワセ”を入れると、ドスンとした重み。
数十メートル先で、2mを超えるピラルクが轟音と共に姿を現しました。
憧れのピラルクを手にした日
ハリにかかった事に気付いたピラルクは全力で抵抗してきます。
100キロ近い巨体で暴れるので、一本の竿と糸だけではかなりキツいです。
しかし、しばらく暴れると体力を消耗して大人しくなるのがピラルクの特徴、水面で呼吸する必要のある魚なのでファイト中に酸欠状態になるのです。
事前知識としてピラルクが弱りやすいことを知っていたため、ファイト中にも水面で呼吸する間を与えたり、できる限りファイト時間を短くしようと、憧れのピラルクを無事にリリースするために最善を尽くしました。
そして浅瀬まで巨体を誘導し、アマゾンの王者ピラルクを抱きしめる事ができました。

憧れの魚、ピラルク。
地球の裏側、アマゾン。ガイアナ共和国まで来てでも釣りたかった魚。
ただただ大きいだけで無く、色合いが美しい。一枚一枚の鱗が本当に大きく、装飾品のように輝いていました。

最低限の写真を撮らせてもって蘇生をしてやると、アマゾンの王者ピラルクはゆっくりと帰っていきました。
ピラルクを釣りたくてアマゾンまで釣りに行った編・まとめ
ピラルク以外にもたくさんの魚を手にする事ができた今回のガイアナ共和国ピラルク釣り。
今回はリリースするためにかなり気を使ってピラルクを扱いましたが、正直蘇生にはかなりの時間を要しました。
ゲームフィッシングの対象魚としての地位を確立しているピラルクですが、リリースに失敗して死んでしまう個体が多いのもまた事実、ピラルクは一生に一度の魚でいいなと感じました。
……今回は無計画で地球の裏側まで飛んで、運よくピラルクを釣り上げる事ができましたが、ガイアナ共和国は治安がかなり悪い国になります。実際に警察官にお金をたかられたり、知らないおっちゃんにビールを奢れと脅されたり?したので日本と比べるとかなりの極悪治安だなと思います。
しかしながらピラルクをはじめとした魅力的な魚が数多く生息する国。
夢のピラルクを釣りたい方は挑戦する価値のあるフィールドが南米・ガイアナ共和国にはありました。
